【物流プロジェクトマネージメント】 抽出したタスクを管理しよう
物流プロジェクトマネージメントで最初にやる事は徹底的なタスクの抽出である。
logical-logistics.hatenablog.com
この記事で紹介したように徹底的にタスクを抽出したら、タスクの管理が必要である。
■タスク管理が必要な理由
タスクを抽出し終えて終了、というわけではない。
単純の現状把握を『自分の中だけで』終えただけだ。
これらのタスクはプロジェクトの成功に向けたステップなのだから、
一つ一つ消化する必要がある。
さらに、物流プロジェクトは多くの人間が複雑にからみあい進めていくものであるから
自分以外の人間にもわかりやすいものでなければならない。
ただタスクを羅列しただけでは、完了も未完了もわからず
またタスクの順番もすぐには見えてこない。
共有すべきプロジェクトメンバーも暗中模索となってしまい、
いきあたりばったりで目の前のタスク消化作業状態に陥ってしまい
プロジェクトの遅延、さらにはプロジェクトの失敗につながってしまう。
このような状態にならない為にプロジェクト管理が必要なのである。
■タスクの管理の仕方
タスク管理の仕方をインターネットで検索すると様々ある。
どれがベストかはプロジェクト、メンバーの性質、プロジェクトマネージャーがやりやすい方法等の観点で
選定して欲しい。
ここでは一例を紹介するので参考にして頂きたい。
管理方法としてはリストにする事が一般的でわかりやすい。
抽出したタスクをリストまで作りこむ手順に沿って説明する。
ただしこの手順は多少前後してもかわない。
ポイントとしては、極力シンプルにすること。
例えば、担当者の欄についてはよっぽどの個人技が必要な場合を除いては「氏名」ではなく「部署名」にする事や
あまりに細かな分類わけ、(例えば入庫予定、入庫受け入れ、搬入・・・などは『入庫』にまとめるなど)については
今後のメンテナンスが困難になる為避けた方がいい。
プロジェクト初期の段階では、時間もありモチベーションもタスク管理に集中するので細かくなりがちであるが
プロジェクトが進むと解決すべき課題が山積しタスク管理の時間が取れなくなり、タスク管理という
所謂「管理業務」に集中する事が難しくなる為、管理については極力シンプルに頻繁に更新し配信できるようにしておく事が重要である。
1 分類わけ
抽出したタスクを分類分けする。
前の記事で例にあげた抽出方法
logical-logistics.hatenablog.com
マインドマップやKJ法などで抽出時点で既に分類になっている場合、これが参考になる。
ただし、分類の分類に少し検討がいる。
例えば
物流作業で分類 ・・ 入庫、ピッキング、梱包、配送、在庫管理・・
立上げ分担で分類 ・・ 現場、システム、営業・・・
時期で分類 ・・ 現状調査、仕様設計、開発準備、現場準備、作業スタート・・・
など分類を決めるにも複数の軸がある。
私の場合は
物流作業で大枠分類
その中で立上げ分担で中分類
大枠分類を時期で並べる
このような方針で管理リストを作成します。
マインドマップ形式でタスク抽出した場合は、枝が伸びている項目は分類項目に、枝が出ていない最終項目はタスクに
KJ方は分類とタスクになる付箋紙をあらかじめ分類する。
という前準備を行ってからリストに落とし込むと効率的である。
この段階で新たなタスクが出てくる事がある。
徹底的に行ったはずのタスク抽出にも漏れがある事がわかって少し愕然とするが、
これは当然な事なので少し自分を戒める程度で先に進んで欲しい。
整理したら隠れた物が出てくる、というのは当たり前のことだからだ。
2 詳細追記
分類わけしたタスクを一度見てみてほしい。
『自分だけ』がわかる言葉になっていないだろうか。
また、全体を見ているからこそわかる書き方になっていないだろうか。
タスク管理表は、誰でもわかる最低限度の言葉で書かなければならない。
そうしないと『何を書いているかわからない』という理由でメンバーが使わなくなる。
自分自身でも『何書いているかわからない』という事態に陥る可能性もある。
詳細はシンプルにわかりやすく追加しておいたほうがいい。
3 担当付け
担当は特定人物しかできない事でなければ組織で記載した方が更新の手間が省ける。
この担当の位置づけは
タスク遂行の責任者
関係がある部門全て
の二通りの決め方がある。
プロジェクトメンバーへの認識と責任者の明確化の意味から
関係部門とその中で責任者のマーキングと両方明示しておいた方がいい。
なお、担当付けをするとプロジェクトマネージャーは責任移譲した気持ちになってしまいがちだが
プロジェクトの遂行責任は最終的にはプロジェクトマネージャーになる為、任せっぱなしにならず
遂行管理を責任を持って管理する事に注意したい。
4 期限設定
立上げ時期から逆算して期限を設定していく。
まずは、理想の期限設定を行い関係者から期限までの完遂が困難であるとの意見が出た場合は
影響範囲を確認し打開策を検討する必要がある。
間違っても関係者からの意見だけで安易に期限変更を行わない事が重要である。
どうしても困難な場合は早めに納期再設定を行うなどプロジェクトの見直しを行う必要がある。
期限設定でもう一つ重要な事は
タスクのつながり
クリティカルパス
である。
タスクのつながりは、『前のタスクが完了しないとスタートできないタスク』である
見積もりを取らないと購入稟議があげられない
仕様設計しないと開発スタートできない
ラックを組まないと棚入れできない
などである。
前工程のタスクの遅延が全体に影響を及ぼす為、後工程のタスクがある場合は特に注意が必要である。
クリティカルパスはタスクのつながりで最長のつながりを組み合わせた時に
プロジェクトが最短でどのくらいの期間がかかるかを算出したものである。
クリティカルパスの変動は納期に影響するので特に注意が必要となる。
5 進捗管理
進捗管理を行うエリアを追加することも重要である。
進捗管理は、
完了 か ブランク
の2通りであとは、完了日ぐらいで十分である。
タスク一項目ごとに『○%完了』のような進捗率を管理するのを見かけるが
タスク一項目で細かな進捗管理は、更新にわずらわしいだけでなく、主観が入るのでかえってメンバーを惑わせる。
進捗管理は、完了か否か、だけで十分である。
進捗率の管理に関して言えば、ある程度のタスクのまとまりで算出するのはよい事だと思う。
それについては後の項目で説明する。
6 便利なツール
タスク管理には、MSProjectという便利なツールがあるが、機能がリッチすぎて使いこなせる人ならいいが
管理者もメンバーもそこまでのITリテラシーがない場合はエクセルの簡単なリストで十分である。
物流プロジェクトであれば、エクセルをベースにしたリストの方が結果的に使いやすいのでこちらを使ったほうがいいと思う。
あくまでシンプルにリストを作り、更新しやすく、メンバーが理解しやすい管理表を目標にすべきである。
■定期的なメンテナンス
リストを作成したら終了、ではなく
プロジェクトの進行を行う都度、リストの更新が必要である。
完了
スケジュールの変更
担当者変更
新たなタスクの追加
などである。
■完了タスクをモチベーションに
現在 ○個消化 / ●個中 完了率 △%
のように、消化状況がわかるようにしておけばモチベーションにもつながる。
小さなことだが、いい影響しかないので実践してもらいたい。
以上がタスク管理の方法である。
ITほど複雑に絡み合うタスク管理が必要ではないので、シンプルにし更新しやすく誰でもわかりやすい管理表にして
メンバー全員で状況が把握できるようにする事がプロジェクトマネージャーは肝に銘じて欲しい。