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4月から物流に携わる方のための ~物流とロジスティクスの違い~

ロジスティクスという呼び方が一般的になってきている。

物流という言葉の英訳がロジスティクスというイメージになっているが
そもそも、物流とロジスティクスは全くの別物なのである。

物流の正しい英訳はdistributionである。
一般的に広まっている logistics は本来意味が異なる。
が、日本ではあまり広まっていない概念なので、
誰かが混同して使っていてもあえて注意しない方がいい。
大人の対応である。

では、物流とロジスティクス。何が違うかを説明する。

■物流

○範囲
物流というのは、『物の物理的な流れ』における作業とそれを含めた管理の事である。

だから、物流と定義した場合
 物が入庫してから
 届け先に届けるまで
が範囲となる。

WMSやTMSを使って効率化を図ると、システムを使うので何か最先端の感じがでて
ロジスティクス感が出るが範囲としては物流の域を出ない。

ロボットを使って作業効率化しても同様。


○効率化
物流の場合は、主に作業が守備範囲となるため、効率化というと
 作業効率
が主になる。

手数を減らす
移動を減らす
時間を減らす
物を減らす

自社の倉庫内と配送ルート内で基本的に完結する。


○社内の人員構成
営業の規模感はおいておいて、物流を主とする企業の場合
分析、企画系の人員がいない。
後述するが、ロジスティクスを主とする企業の場合は分析、企画系の人間が不可欠だからである。

○受注形態
物流を主とする企業の場合、全て作業費、制作費、運送費という費用構成になり
基本的に作業の委託となる。

 

 

ロジスティクス
○範囲
ロジスティクスは生産段階から戦略的に物流を効率化していくことである。

物が使用する場所(届け先ではない)へ届き『使用される場面』までを考え
生産の段階から作業、配送まですべての工程に関して効率化を進めていく事である。

物流はロジスティクスの一機能というとらえ方になる。

最終的に使用される場面までを考えた包装や
より早く効率的に作業を行う事
必要在庫を最適化し在庫ロスを削減すること
など、物流作業だけではなくその前後を含めた検討が必要になる。


○効率化
ロジスティクスにおける効率化は、主に荷主と届け先、最終使用者を見据えて行われる。
荷主にとってコスト削減になるか?
届け先は受け取りやすいか、その後の作業は楽になるか?
最終使用者に負担はかからないか?
などである。

その効率化の中で行われる社内の業務効率化も当然ながら必要となる。
社内の業務効率化のために製造段階での仕様変更検討などは
ロジスティクスの分野となる。

○社内の人員構成
ロジスティクスを進める場合、分析、仮説、提案、導入プロセス管理など
物流分野ではあまり必要のない分野の人員が必要となる。

一部外部へ委託することも可能ではあるが、
私は反対である。

○受注形態
作業や制作、運賃の他に企画、開発、分析、進行管理など
直接作業に係らない項目の費用項目が発生する。
また、長期的な契約が必要でゲインシェアや成功報酬などのオプションも検討する必要がある。
業務の委託というよりもパートナーシップ契約の方がイメージが近い。

 


以上が物流とロジスティクスの違いである。
こうすると明らかに両者は違うものであるが、前述したとおり日本では混同して使われることが多いため
他の人が混同して使っていたところであえて訂正しない方がいい。
うっかり訂正しようものなら、両者の違いについて説明しなければならなくなる。
時間がかかる上、理解させれるほどの忍耐力が相手にもあるかどうか疑問なので
おとなしく流した方が大人である。