logical-logistics

準備中 記事を書きためてます

心構え 細部まで考えシンプルにアウトプットする

ロジスティクスのプロジェクトマネージャーは全ての影響範囲において緻密さを求められる。

対象とのなる範囲は膨大である。
 【物の流れ】
  現場の作業手順
  入庫までの物の流れ
  受け取った後の工程
 【情報の流れ】
  得意先内での情報処理の流れ
  社内のデータ処理
  報告データの出力方法
  報告したデータの得意先内での活用方法
さらには、得意先内の事業展開の見通しや、自社内でのインフラ整備予定、中長期の事業展開計画、
財務状況、インフラの現状、作業員の状況などなど

その他にもプロジェクトに影響する事、影響しそうな事、未来的に影響する見込みのある事、全てにおいて
計画に盛り込むか、または盛り込む検討を行う事が要求される。


ここまで情報を集め、業務仕様を作成する。

情報が膨大になる為、仕様を検討するのはかなりの労力を要する。
また、アウトプットとなる検討結果を記載した書類も膨大になり細かな情報が並ぶ。

結果的に難解な資料が完成する。


■難解な情報をわかりやすく伝える義務がある

膨大な情報を難解な資料でアカデミックに説明する事はプロジェクトリーダーなら誰にでも可能だ。
また、その方が楽である。

自分の仕事は範囲がここまで、という役割ならここで問題ないだろう。

しかし、ロジスティクスのプロジェクトリーダーは違う。
物を期待通りに届けて、得意先内の事業に貢献してナンボの世界である。

だから、情報を整理し仕様を策定しただけでは終わりではない。
それを伝え、仕様を具現化し、立上げ、滞りなく進行する。
までが役割なのである。

この事を前提にすると、
当然、策定した仕様はメンバーに伝わらなければ意味がなく
伝わるように資料を作成し、説明しなければならない。


■伝わるようにする

どうやったら伝わるようになるか。

まず、シンプルにすること。
そして、わかりやすい表現にすること。

他にも様々あるが、この2点をまず注意したい。

基本的には3ステップである
 1 結果を伝え
 2 その理由を完結に説明し
 3 根拠となるデータを提示する

基本的にはこの繰り返しとなる。

膨大な情報から仕様を策定しているので、シンプルにすると説明しきれない情報も中にはある。

これからの進行に影響が無い情報なら説明は省く。
潔く省く。
所謂情報の取捨選択である。

中々これができない。
人は、持っている情報を伝えたがる。
ただ、情報が多いと埋もれてしまって本当に伝えたい事が伝わらなくなる。
だから、情報を取捨選択するのである。

きちんと必要な情報を3ステップで説明していく。

これだけでもかなり効果がでるはずである。


あとは、説明資料の作成の仕方。

細々説明文章を乗せる必要はない。
必要ならば別紙にするなどし、メインで使用する説明資料にはポイントのみを記載する。


ここまで書くと想像されると思うが、世に出ている『 受けるプレゼン方法 』と同じである。


世に出ているプレゼンの手法は、営業が得意先に売り込む時、自分を誰かに売り込む時、に主眼を置いているが
自分がまとめた仕様をメンバーに伝える、というプロジェクトマネージャーの仕事でも必要なスキルなのである。

長々と書いたが、結論は
 プロジェクトマネージャーにはプレゼンスキルが必須
であり、
 細部まで考えシンプルにアウトプットする
が最初の課題となる。


物流を制するものは○○を制すは正しいか

誰が最初に言ったか
 物流を制するものはビジネスを制する
 物流を制するものは市場を制する
 物流を制するものはECを制する
などの「物流を制するもの」シリーズ。

これは確かに正しい事のように思う。

が、これだけでは不足している。

物流とロジスティクスは全く異なるものである。

 

logical-logistics.hatenablog.com

 



この定義に照らし合わせると、単純に物流だけ制してもそれほど大きな影響力は生まれない。

むしろ、正しく言い表すとするならば
 ロジスティクスを制するものは○○を制する
となるべきである。

とはいえ、「物流を制するものは」と使っている方々は本質的には
ロジスティクスを制するもの」という意味で使っていると思うので問題は無い。

問題は、物流の前後を全く考慮せず(ロジスティクスを全く考慮せず)作業効率ばかり追い求める方向に向かってしまう場合である。

物流の効率化はあたりまえ。
戦略的に物流を展開する、その意識が無いと制するものも制する事ができない。

この世の中で、物流なしで存在しているものは『地球上に元々あって出来たときからそこにある』もの以外は何も無い。
必ず誰かの手が入り、誰かの手で運ばれる。
それが、企業規模、社会規模になれば当然戦略が必要になる。

だから、物流だけではなく
 ロジスティクスを制するものはビジネスを制する
 ロジスティクスを制するものは市場を制する
 ロジスティクスするものはECを制する
となるわけである。


単純な言葉遊びにも見えるが、本質的な部分で間違って理解してしまう事もあるので注意して頂きたい。

4月から物流に携わる方のための ~物流とロジスティクスの違い~

ロジスティクスという呼び方が一般的になってきている。

物流という言葉の英訳がロジスティクスというイメージになっているが
そもそも、物流とロジスティクスは全くの別物なのである。

物流の正しい英訳はdistributionである。
一般的に広まっている logistics は本来意味が異なる。
が、日本ではあまり広まっていない概念なので、
誰かが混同して使っていてもあえて注意しない方がいい。
大人の対応である。

では、物流とロジスティクス。何が違うかを説明する。

■物流

○範囲
物流というのは、『物の物理的な流れ』における作業とそれを含めた管理の事である。

だから、物流と定義した場合
 物が入庫してから
 届け先に届けるまで
が範囲となる。

WMSやTMSを使って効率化を図ると、システムを使うので何か最先端の感じがでて
ロジスティクス感が出るが範囲としては物流の域を出ない。

ロボットを使って作業効率化しても同様。


○効率化
物流の場合は、主に作業が守備範囲となるため、効率化というと
 作業効率
が主になる。

手数を減らす
移動を減らす
時間を減らす
物を減らす

自社の倉庫内と配送ルート内で基本的に完結する。


○社内の人員構成
営業の規模感はおいておいて、物流を主とする企業の場合
分析、企画系の人員がいない。
後述するが、ロジスティクスを主とする企業の場合は分析、企画系の人間が不可欠だからである。

○受注形態
物流を主とする企業の場合、全て作業費、制作費、運送費という費用構成になり
基本的に作業の委託となる。

 

 

ロジスティクス
○範囲
ロジスティクスは生産段階から戦略的に物流を効率化していくことである。

物が使用する場所(届け先ではない)へ届き『使用される場面』までを考え
生産の段階から作業、配送まですべての工程に関して効率化を進めていく事である。

物流はロジスティクスの一機能というとらえ方になる。

最終的に使用される場面までを考えた包装や
より早く効率的に作業を行う事
必要在庫を最適化し在庫ロスを削減すること
など、物流作業だけではなくその前後を含めた検討が必要になる。


○効率化
ロジスティクスにおける効率化は、主に荷主と届け先、最終使用者を見据えて行われる。
荷主にとってコスト削減になるか?
届け先は受け取りやすいか、その後の作業は楽になるか?
最終使用者に負担はかからないか?
などである。

その効率化の中で行われる社内の業務効率化も当然ながら必要となる。
社内の業務効率化のために製造段階での仕様変更検討などは
ロジスティクスの分野となる。

○社内の人員構成
ロジスティクスを進める場合、分析、仮説、提案、導入プロセス管理など
物流分野ではあまり必要のない分野の人員が必要となる。

一部外部へ委託することも可能ではあるが、
私は反対である。

○受注形態
作業や制作、運賃の他に企画、開発、分析、進行管理など
直接作業に係らない項目の費用項目が発生する。
また、長期的な契約が必要でゲインシェアや成功報酬などのオプションも検討する必要がある。
業務の委託というよりもパートナーシップ契約の方がイメージが近い。

 


以上が物流とロジスティクスの違いである。
こうすると明らかに両者は違うものであるが、前述したとおり日本では混同して使われることが多いため
他の人が混同して使っていたところであえて訂正しない方がいい。
うっかり訂正しようものなら、両者の違いについて説明しなければならなくなる。
時間がかかる上、理解させれるほどの忍耐力が相手にもあるかどうか疑問なので
おとなしく流した方が大人である。

 

物流の業界人に求められる最低限のモラルとその測り方

物流業に携わる人には、モラルが求められる。
機械化が進んだ作業場でも同じだ。

個人視点で見れば、得意先または自社から仕事を受けているのであるが
その仕事を遂行する上で物流に携わる人は様々な悪魔の誘惑があるのである。


■悪魔の誘惑
・品物の窃盗
 これから届ける物を扱うわけで、扱う物は決して不用品ではない。
 時には高価な物もあり、ある特定の層に高価で取引されるものもある。
 そのような物を扱うので、「自分の物にしてしまおう」という悪魔の誘惑がある

・情報公開
 物流の現場では実に様々な物を扱う。
 時には、「公開前」の超機密情報を含んだものもある。
 発表前のキャンペーン、そもそも発表に使用する説明ツール。
 インサイダーにつながる物すら存在することもある。
 物流作業者はこのような情報を当然目にするわけで、誰かに話したい誘惑がある

・ルール無視で楽な作業方法を選ぶ
 物流作業工程でのルールは様々ある。
 それは、作業者から見ると「手間」以外の何物でもないこともあるが
 『事故防止』につながっていたり、『後工程の効率化』になっていたりする。
 ここでも、ルールを無視して楽に仕事を流したい誘惑がある

・ルールは守っても亀作業
 ルールを守り、手順通りに作業を行っても、亀のように遅い作業をして楽したい誘惑がある

これらの誘惑は何も作業者に限った事ではなく、営業も含めて発生しうる誘惑である。


■悪魔の誘惑に負けると
良くてその会社をクビ、悪くすると刑事事件に発展する。
社会的地位を失う事態になることは容易に想像できると思う。

■物流に携わる人が最低限守るべきモラルの指標

簡単にその人のモラルを測る指標がある
徒歩通勤に限定されるがそれは、

 誰もいない赤信号の交差点で信号を守るかどうか


これだけで色々な面がわかってくる
・信号を守る、というのは物流業界の人間としては当然の行為。
 これを守れない人は物流への意識が低い
・作業場のルールを守ることは、結局『誰も見ていないところでもルールを守る意識』に似ている。
 自分でルールを自覚し、守ることができないと物流作業場のルールも守ることはできな

 

あなたの会社はどうだろうか。
仕事が終わり、帰宅時近くの交通量が少ない交差点で見てみるといいと思う。
結構な人数が信号無視をしている。
また、徒歩通勤でない場合や丁度いい交差点がないときは
構内で歩く通路を片側通行にするや、徒歩侵入禁止エリアを設けるなどでも測ることができる。

いくら普段誠意のある態度をとっている社員でも、
こういうところでモラルを守るかどうかがわかるはずだ。

 

ECだけじゃない。再配達の問題点

最近、ニュースにもなっている宅配便の「再配達問題」


環境省のプロジェクト
COOL CHOICE できるだけ一回で受け取りませんかキャンペーン~みんなで宅配便再配達防止に取り組むプロジェクト~

 

環境省が宅配便の再配達削減キャンペーン - "できるだけ1回で受け取り" | マイナビニュース

 

再配達時のトラックのCO2排出抑制に向けての動き。
当然ながら、再配達によりデメリットは環境だけではない。

・配達員の残業問題
・業界求人の低下
・配送品質の低下
などなどがあり、再配達は
 
 百害あって一利なし

なのである。


 
これまでは業界関係者その中でも陸の物流業者のみが「再配達抑制」を叫んできたところへ、
行政、小売り、陸以外の物流業者が集まり本腰で取り組み始めたようである。


ただ賛同企業を見ると、物流業界の企業と小売業が目立つ。

かなり乱暴な分け方だが、
 ECで売る側
 ECの商品を運ぶ側
 自社のサービス
のいずれかに属する企業ばかりではないだろうか。

近頃は、アマゾンや楽天に代表される「EC」が注目されているから、
ECの商品配達時の再配達が目立っている事は仕方がない。

しかしながら、「再配達」問題を検討する際に是非考えてもらいたいポイントがある。

それは、
 EC以外のBtoC配送
である。


■EC以外のBtoC配送とは

例えば、食品メーカーが行うプレゼントキャンペーンの配送、全員プレゼントキャンペーンなどである。

受取り主は個人であり、荷主は企業。
一度の出荷数は大量で、一斉に出荷されるケース。

ただし、ECとは異なり受取り主である個人は一切の金銭を支払わないケースである。

■何が問題なのか

『届けられず出荷元に返品される』問題が発生する

 返品は物流業者に負担がかかる、その負担は費用となり
 費用は荷主である出荷元、つまり企業への負担へとつながる。


■返品されるパターン

1 住所情報精度が低い
絶対欲しいものならともかく、自分で支払いが発生しない状態で登録(記載)した個人情報は住所情報に間違いが多い。
住所に間違いがあると当然『届け先』事態が存在しない。

2 受取人の不在
ECのように、注文時に日付時間指定ができるわけではない。
そもそも、登録した日と物が届く日の間がかなり空く事が多い。
その結果、届けても不在になることが多い。

3 転居してしまう
登録した日から届ける日が離れてしまう事も多いため、その間に引っ越ししてしまうこともある。
郵便などの場合は転送ができるが、転居先不明で返品されるケースが多い

4 受け取り拒否
登録した人が不在で家族しか在宅していない場合、
「そんな荷物知らないから受け取らない」
というケースも発生する。

上記のようなケースでは、宅配業者が持ち帰り
状況によっては何度か配送に向かい、それでも不在の場合は
出荷元に返品となる。

■返品による負担

では、返品となるとどのような負担が発生するか。

1 宅配時の負担
何度も届け先へ出向く負担が発生する。
所謂再配達である。
全く存在しない住所や受取拒否ならば再配達の必要なく返品となるが、
(受取拒否でも注文者へ連絡を取り再配達する場合もある)
それ以外の場合は、何度も届け先へ出向くのである

冒頭の再配達削減キャンペーンは、この負担を軽減しようという趣旨である。

2 出荷元へ配送する負担
どうしても届けられない場合、出荷元へ返品のために荷物が移動する。
この費用が発生する。
通常、配送料金は出荷元から出荷先への費用である。つまり片道料金なのである。
状況がどうあれ、出荷先から出荷元へ移動という状況が発生したならその分の料金が発生するのは当然であり
返品の配送費用は物流業者が立替え、荷主に請求となる。

3 物流業者の返品処理負担
返品が発生した場合、普通に出荷するよりも1件あたり少なくとも3倍の手間がかかるといわれている。
返品発生時に発生する手間は
 ・返品受取
 ・返品品の仕分け
 ・返品の履歴データ化
 ・再配達のための出荷先への連絡
 ・物を再利用する場合は、出荷先情報を保持したまま保管
 ・再出荷作業
 ・着完了の確認
などが発生する。
通常の出荷(初回の出荷)の場合、ほとんど最後の二つの作業に品物の入庫、一時保管が発生する程度なので
返品~再出荷となった場合の手間と比べる膨大になることがわかると思う。

物流業者で行う場合、これらの手間はすべて人の作業時間となり荷主の費用負担増という結果になる。


■ 負担がどう生活者に影響するか

実のところ、ECではないBtoC配送の場合キャンペーン関係が多いので
企業の費用は「物流費」ではなく「広告費」として扱われる事がおおい。

物流費となると企業としては単純に「コスト」だからコスト削減が推進される。
ECにおける再配達抑制の流れは、再配達が「コスト」だから注目されるし
再配達がなくなれば、全体の宅配料金が下がり利益が増える。

これが、「広告費」の一部となると少し変わってくる。
キャンペーンの場合、企業が直接キャンペーンを実施するために物流業者へ発注するのはあまりなく
その間に代理店などが存在する。
代理店は配送における返品の追加費用負担も「売上」の一部になるため
あえて返品を抑制しようとは思わない。
当然、届け先である生活者からの「届かないクレーム」が出ないように注意は払うがその程度なのである。
そして、キャンペーンの結果その商品の販売数への影響の方が重要であるため、
キャンペーンプレゼント自体の問題はどうしても二の次になってしまう。

極端に言えば再配達を含めた返品の影響は
 ECの場合は万人にとって「悪」
 ECではないBtoC配送の場合は、「注目されない」もしくは「善となることもある」
という構図になる。


そうすると、どのように生活者に影響するか
広告費はその商品の費用に含まれるため値段が上がる。ということになる。


■ 解決する策
では、どのように解決する策があるか。

企業側
1 当選者、配送が決まった後に住所情報を取得するようにする
PCやスマホなどで「当選通知」を送り、そのあとに住所情報を取得するようにする。
ただ、この方法ではスパムメールと認識されたり、そもそもメールを見落とされる可能性があるため
このご時世では難しいのかもしれない。

2 信頼性のある住所情報を保持している企業と相乗りスキームを構築する
携帯会社やカード会社などの住所情報を利用するスキームを構築する、という手がある。
アマゾンのAmazonログイン&ペイメント のようなスキームである。

3 配達関連情報を明記する
配達時期、宅配業者、時間帯などをあらかじめ生活者に告知しておき、受け取れない場合は再配達しない。と明言する。
これは、受取促進の意味合いもあるが、再配達しませんよ!
と、告知しておく事がキーとなる。
返品が発生したら履歴までとって、返品物は廃棄。
これでもだいぶ違ってくる。


生活者側
1 受け取る
不在通知への対応、ヤマトのクロネコメンバーズサービスの利用など。
無料といえど、できれば頑張って受け取る努力をする。
受取さえすれば問題は解決なのだから

2 住所をちゃんと記入する
住所は読める字で間違えずに入力、記入する。
適当に書くなら「最初から応募するな」ということである。

3 家族に言っておく
自身が不在で家族が受け取る場合、ちゃんと伝えておく。

4 メールアドレス、電話番号は正しく
配達時、返品後、連絡が取れないと「不明」のままになってしまう。
「不明状態」がなくなるだけでも違うのでちゃんと正しい情報をのせる。


以上がECだけじゃない。再配達問題である。
結局は生活者に跳ね返ってくるし、企業にとってはマイナスしかないので
ECの再配達同様に返品問題も検討をしてほしい。